CoaXPress 2.0 帯域幅の拡張およびその他の機能

WhitePaper / 02.2019


CoaXPressは、信頼性、ケーブル・コネクタ周りの単純化設計、ケーブルの延長のほか、非常に低いジッタートリガ、カメラ制御、および給電ケーブルといった業界必須の特徴を備え、ハイエンドのマシンビジョン規格としての成功を収めてきました。CoaXPressスタンダードバージョン 2.0は、CoaXPress 1.1.1との下位互換性を維持しながら、さらに様々な新機能を提供しています。
ここでは、そういった新しい機能の概要を、使用事例と合わせて紹介します
 

帯域幅の拡張とより高いトリガレート

4つのCXP-12接続を使ったCoaXPress 2.0リンクは、最大50 Gbps (5ギガバイト/秒) のデータ転送レートをサポートできます。これは、たとえば 10 ビット/12 メガピクセルのエリアスキャンセンサを 300 イメージ/秒以上で、または 8 ビット/16k のラインスキャンセンサを 300,000 ライン/秒で稼働するには十分な速度です。シングルコネクタのCoaXPress CXP-10カメラは、Cmera Link Extended Full 80ビット構成に比べ、1本のケーブルでより広い帯域幅を提供し、2本のケーブルを使用した場合に6.8 Gbps (0.85ギガバイト/秒) を達成します。4接続のCXP-12フレームグラバーは、1つのスロットで、4つのCamera Link Fullフレームグラバーよりも広い帯域幅を提供します。
 
  














 





また、CoaXPress 2.0は、CXP-10とCXP-12のホストからデバイスのアップ接続を20.83 Mbpsから41.6 Mbpsに引き上げるため、ホストは、シングルトリガメッセージモードでは約600 kHzのレートで、デュアルトリガメッセージモードでは約300 kHzのレートで、カメラへのトリガメッセージを送信することができます (立ち上がり/立ち下がりエッジ)。CoaXPress 2.0拡張ビットレートに関すると、ケーブルの長さも重要なポイントです。CXP-10とCXP-12を実現するために、ケーブルドライバとイコライザに注力することで、下位ビットレート向けのケーブルの長さが大幅に改善されました (CXP-1、CXP-2、CXP-3、CXP-5、CXP-6)。
 

CXP12LongCableSupport.png












マイクロBNCコネクタへの対応

ビットレートの拡張により、CoaXPress 2.0はマイクロBNC (またはHD-BNC) に対応しています。Amphenol® によるこのコネクタは事実上の業界標準であり、最大12Gbpsの転送速度を処理できるように設計されています。
12G-SDIリンクや、類まれの機械的安定性、コンパクトサイズ (DIN 1.0/2.3に類似)、そして適切な電気特性といった特徴を備え、放送業界で広く使用されています。

タイムスタンプ統一機能

CoaXPress 2.0には、デバイス、ホスト、ソフトウェアで起きるイベントを統一された時間基準に変換するタイムスタンプ統一機能が導入されました。この機能は、ホストやデバイスが内部の独立した自走時間クロックを維持しているために導入されました。ホストとデバイスは、それぞれの時間クロックを使って内部イベントのタイムスタンプを作成します (デバイスイベントは「t-dev」、ホストイベントは「t-host」)。デバイスは定期的に時間同期メッセージをホストに送信することで、t-devとt-hostの関係を追跡できるようにします。この関係に基づき、ホストはt-devで表されるタイムスタンプを、t-hostで示すタイムスタンプに変換します。
 
 

イベントチャンネル

イベントチャンネルはCoaXPress 2.0で新たに導入された通信パスで、デバイスがホストに対し、メッセージとスタータス更新を非同期的に送信するメカニズムを提供します。すべてのイベントメッセージには、タイムスタンプ統一機能を使ってタイムスタンプが作成されます。デバイスは、露出の開始や入出力信号の状態などの特定の内部イベントが発生した場合に、この新しいチャンネルを通じてアプリケーションに正確に通信することができます。
 

エラーのレポート機能

CoaXPress 2.0には、ユーザーに稼働時のリンクの状態を明確に示す、一連のカウンターが導入されました。これらのカウンターは、リンクに関連する問題が発生するたびに増加します。こういった問題には、リンクロス、誤った8b/10bシンボルの検出、CRCエラー、重複文字 (一部のCXPメッセージで堅牢性を得るために使用) の差などが挙げられます。アプリケーションは、GenApiを使って、これらのカウンターの読み取りやリセットを行います。


制御パケットのタグ

CoaXPress 2.0では、制御チャンネルの堅牢性を改善するために、制御パケットにタグフィールドが追加されました。  タグフィールドは連続した数値で、ホストが発行する新しいコマンドごとに増加します。デバイス (カメラ) は、対応するコマンドパケットで受信したタグとともに、確認メッセージを送信しなければなりません。この規則により、ホストとデバイスは、確認メッセージの消失した場合などのエラー状態から確実に回復することができます。この特定のケースについて述べると、ホストは、あるタイムアウトが発生した場合に、同じタグを維持したままコマンドを再送信します。デバイスは、受信したタグに基づいて、このコマンドがすでに実行されたかどうかを確認することができます。


データ共有

CoaXPress 2.0は、デバイスが2つ以上のホストに同時にデータをストリームする際のデータ共有に関する規則を定義しています。  データ共有が可能なデバイスには、2つ以上のリンクがあり、各リンク (「サブデバイス」と呼ぶ) は標準的なCoaXPressリンクである必要があります。   つまり、ホストから見た場合、データ共有デバイスの各リンクは、通常のデバイスとして見なされます。CoaXPress 2.0では、イメージストリームについて、次のようにさまざまな共有モードが定義されています。

















CoaXPress 2.0のその他の強化・新機能

CoaXPress 2.0規格では、実装をより簡単に行え、より高い信頼性を提供できるように、機械的、電気的、
およびプロトコルレベルでの明確化が実施されました。
 

最後に

2011年に正式な規格として承認されて以来、CoaXPressビジョンインターフェイス規格は、マシンビジョンとビデオ監視分野において、世界中のマシンビルダーやシステムインテグレーターから著しく採用されてきました。この規格の最新の進化であるCoaXPress 2.0は、次世代の高解像度高フレームレートカメラをサポートする帯域幅を実現することで、よりクリアな画像をより短い時間で提供する新世代のアプリケーションを送出する上での大きな前進と言えます。過去最高レベルの生産性、品質、セキュリティ、および現実的な把握を達成することが可能となるのです。

 
著者:
ハードウェア
エンジニア、パウ
ロ・ポッサ博士