スポーツ分野の撮像に使用されるCoaXPress
テレビの生中継やオンラインでのライブ配信を通じて観戦する視聴者に魅力的なエクスペリエンスを提供するために、メディア企業はアプリやソーシャルメディアプラットフォーム向けのライブおよび動画オンデマンド(VOD)の没入型動画に絶えずさまざまな機能を追加しています。「拡張現実(AR)」、「仮想現実(VR)」、「Extended Reality(ER)」といった新たな流行語が渦巻く中、イメージング企業には多数の機会が与えられています。
スタジアムの撮像技術では、プレミアム視聴者が映像角度を動的に変更できるようになっています。競技プレーを仮想的に動かしたり、3Dで再構築したりすることができるため、録画映像のプレイバックや以降での分析に使用することが可能です。
スポーツ分析はほぼ必ず3Dで行われます。たとえば、3D空間における野球選手のスウィングのリアルタイム分析、ゴルフのスウィング分析(プロゴルファーのトレーニングに使用)、プレーの予測分析などを行うことができます。
さらに、撮影スタジオでもこれと同じ撮像技術を使って、広範なアプリケーションを対称と下多重視点の3Dコンテンツを生成し、映画シーンの没入型動画、仮想広告コンテンツ、ビデオゲームのシーンに使用するVR効果、さらにはARコンテンツ向けの没入型コンテンツなどの制作に採り入れています。
こういったアプリケーションでは、とにかく最高品質の動画ストリーミングが必要となるため、高解像度と高フレームレートが求められています。CoaXPress(CXP)はコンピュータビジョンアプリケーションでの高速画像データ転送向けに開発されたデジタルインターフェース規格であるため、必要とされる帯域幅と機能が備わっています。CoaXPressは、カメラからホストPCのフレームグラバーに転送する高速ストリーミング動画データを送信し、カメラへ40 Mbpsでコマンド・制御をアップリンクする、データの双方向通信を1本のケーブルで行います。さらに、同一のケーブルで、カメラとそのレンズコントロールに給電することが可能です(該当する場合)。
今では、30~40 Gbpsの帯域幅を必要とするCMOSのセンサーとカメラに手を伸ばせられるようになりました。たとえば、71 fpsで65 MPを達成すると考えてください。これは従来の放送用動画の要件を超える解像度とフレームレートではありますが、動画解析、3Dボリュームビデオ、そして単に広い視野の選択肢を提供するという上で必要です。CoaXPress 2.0は新しいCXP-12の速度で、4つの同軸ケーブルを使って個の帯域幅をサポートしています。CoaXPress-over-Fiberは、これを1本のファイバケーブルと一般的に利用できるQSFP+トランシーバーを使ってサポートしています。
CoaXPressは多くのアリーナですでに利用可能となっている12G SDIインフラストラクチャを使用することができますが、CoaXPressプロトコルでは、SDIよりも目覚ましいメリットを得ることができます。CoaXPressにはジッターのない低レイテンシーのカメラトリガーと同期機能が備わっています(ジッターは通常4 nsで、固定レイテンシーは約5 μsです)。さらに、EuresysのCoaxlinkカードに備わっているC2Cリンク機能によって、同一のCoaxlinkカードに接続されているカメラ、同じPCの別のカードに接続されているカメラ、さらには離れた場所にあるPCの別のカードに接続されているカメラと正確に同期することができます。マスターCoaxlinkフレームグラバーで駆動するすべてのカメラは、マスターのタイミングに合わせてコヒーレントに同期・稼働することができます。
カメラを同期する必要があるのはなぜでしょうか。まず、スタジアムの照明のリフレッシュデューティサイクルに合わせてカメラ露出をトリガーすると、スローモーション再生に使用される高フレームレートの撮像に照明のちらつきが取り込まれないようにすることができます。次に、複数のカメラから3Dシーンを再構築するアプリケーションの場合、複数のビューポイントからまったく同時に露光して正確に再構築された3Dシーンを得られるように、すべてのカメラを厳密にロックする必要があります。厳密に(マイクロ秒)カメラを同期させるのは、CoaXPressであれば単純かつ簡単に達成できることです。
CoaXPressには、こういったアプリケーションの要件に対応できるさまざまな接続オプションが用意されています。同軸ケーブルを使用した場合、最長40メートルのケーブルを使って1台、2台、または4台のCXP-12カメラをCoaxlink Quad CXP-12に接続できます。Coaxlink Octoフレームグラバーであれば、最長72メートルのケーブルを使って、最大8台のCXP-6カメラを単一スロットで接続できます。
ファイバケーブルを使用した場合、標準の40GBASE-SR4 QSFP+ オプティカルトランシーバーモジュールとマルチモードファイバ用MTP/MPOファイバコネクターを使うと、ケーブルの最大の長さは、150メートルに達します。また、標準の40GBASE-ER4 QSFP+ LC DOMオプティカルトランシーバーモージュールとシングルモードファイバ用LCデュプレックスファイバコネクターを使うと、最長40キロメートルにもなります。どちらのオプションでも、帯域幅は40 Gbpsに維持されます。CoaXPress-over-Fiberは、市場での承認を得始めており、このインターフェースを使用するカメラもさまざま販売されています。また、Euresys Coaxlink QSFP+にも対応しています。
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同軸ケーブルのEMI性能はすでに卓越したものではありますが、それを超える光ファイバ接続により、干渉のリスクのない、より簡単な実装が可能になります。 また、さらにそれを上回る高いスループット(100〜200 Gbps)の領域への扉も開かれています。